D×D Bypar | ナノ




17

カインを追って出てきた二人はその場で立ち止まる。暴風のせいでもあるのだろうが、そんなことだと一掃してしまえるほどの理由が目の前で佇んでいるのだ。
ファイは本能的に片手剣・デットリィタバルジンを構える。しかし、こんな小物で通じるものかと頭のどこかで馬鹿にしていた。
一方レンは背中のジャギットファイアを構えることさえできなかった。こんなものが生き物でいいのか、そんな訳のわからない無意味な自問自答さえ頭で繰り返すしかなかった。

そして、カインは。

「・・・っは」

短く呼吸を繰り返す。右目がずくんずくんと、熱い。いや、熱いではない。
異様に冷たい。うずくのに、心臓のように脈まで打つのに、熱いと錯覚してしまうほど、冷たい。
本当の心臓も右目と連結してしまったかの様にどくんどくんと大きく鼓動を打つ。身体はそのせいで火照るのに、吹雪と、あるいは右目のせいでどんどん寒くなる。



三人の惰弱な生物を、クシャルダオラは何の感慨も無く眺めていた。
なんだ、こんなに弱い生き物だったのか。己の領域を無遠慮にも踏み荒らしていたのは。
餌にすらする価値の無い、惰弱な生き物。他の生き物の骨と皮が無ければあっけなくつぶれてしまう、居る価値の無い生き物。

生物の最下層の−−−−−−小ざかしい生き物。

面倒だ。こんな、とるに足りない生き物を屠る等。

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