D×D Bypar | ナノ




15

口に押し付けられた生肉が何でもないことを確かめるように少し齧って、堰を切ったようにがっつくティガレックスに最初から食べろと言い捨てるファイを少し笑って、レンとカインは治療を開始した。

ぐちゃぐちゃ、とティガレックスが生肉を頬張る音と、ぱちぱち、とファイが生肉を焼く音と、かちゃかちゃ、とレンが治療する音の響く空間にカインは変な感覚に襲われる。
野生が肉を食らう音と、火と言う文明を使う音と、医療という技術を使う音が混ざった空間とは、まったく合っていないのに、変にしっくりと当てはまる。

生きるための音だと、カインは思った。


ファイが、何を思ったのか小さな肉の塊をティガレックスに投げつける。それを見るや否やティガレックスは勢い良く食いついた。先ほどまで本能的に食らいつくのとは違い、味わうように食べているそれはポポノタンで。
レンがファイを冷やかして笑うと、ファイは渾身の振り抜きでこんがり焼けた肉をレンの顔面にたたきつけた。

(・・・レンって、懐かれ体質だなぁ)

ほとんど気を許しきっているティガレックスとレンに対して割と問答無用のファイを眺めながらカインはのほほんとそんなことを考える。
そう思うカインも懐かれ体質であると、突っ込む者はいなかったが。


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