D×D Bypar | ナノ




11

少し、沈黙が起きた。レンが黙り込み、ファイもカインも何も言わないわずかな時間が流れた。しかし、レンは黙ってティガレックスに近づく。

「っレン・・・」
「まあ、正論っちゃ正論だわな」
「ならなんで」
「悪ぃけど、俺はハンターで医者なんだよ」

いつものやけになって返すそれとは違い、ただ静かにそう言ってレンはティガレックスに触れる。
ファイの台詞を聞いて、それを噛み砕くように理解して。その上でレンは否定したのだ。

真逆だと、見ていたカインは思う。

ファイは長く狩人だったから、弱った生き物に対する情は侮辱だと思うから。
レンは長く医者だったから、弱った生き物にもう一度生きる力を与えて当然だと思うから。

正直ここでどちらが正しいと聞かれたら、きっとカインには答えられない。
どちらも正しくて、どちらも間違っていると思うから。

問答も不必要だと諦めたのか、ファイの小さなため息が吹雪きに飲まれて消えていく。
カインの曖昧な思考も、雪と一緒に白く消えた。


[ 137/200 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -