D×D Bypar | ナノ




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雪球が直撃する寸でのところで、ティガレックスは急停止し先ほどの天地を揺るがすほどの咆哮をあげた。

バウンドボイス。飛竜種のほとんどが持っている能力で、殺傷能力自体はたいしたことはないが、耳を劈き鼓膜をぶち抜くほどの威力を持つ、音声凶器ともいえる攻撃方法だ。
特殊な音波は、飛竜上位種にもなると物質的な破壊力を持つ。
その破壊力を持つ咆哮を、ティガレックスは雪球目掛け放つ。
雪球はあっけなく砕け、ドドブランゴも思わず地に伏せる。

その隙を、ティガレックスが見逃すはずがない。

周りを取り囲むブランゴ達を容赦なくひき潰し、雪山の長の喉笛を喰い千切った。


鮮血が、真白の雪に赤い華を咲かせる。

その赤い華の中で、ティガレックスは己が喰い千切った主を見下ろす。
そこに人間がいたらこう思ったのだろう。

まるで、雪獅子を弔っているかのようだ、と。

しばらくドドブランゴを眺めていたティガレックスだったが、ふと天を仰ぐ。
もとより飛ぶことよりも地を這い力の限り暴れる性分であるこの飛竜が天を気にかけるのは非常に珍しいことだった。
だが、先ほどの雄々しさはどこへやら、ティガレックスは文字通り地に這い蹲る。
己の体が持ち上がらない理由は二つ。ひとつは常識を逸したプレッシャーに耐えられなかったこと。もうひとつは、物理的に押さえつけられたこと。

自分に触れることなく押さえつける存在にティガレックスは弱弱しく呻くことしかできなかった。



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