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王者・・・リオレウスはケビンを見、レンを見て、ファイを見た後カインを見た。
大きさは、キングサイズ。右目はつぶれてはいるがその風格は先ほど餌場争いに負けた若いリオレウスとは比べ物にならない。
だめだ、勝てない。
カインの頭はそれを瞬時に理解しているというのに、体が動いてくれない。
顔がずっとリオレウスに向いている。そして、目が合ったその瞬間。
「っぐ、あ・・・!?」
ずぐりと、まるでそこが心臓になってしまったように脈打った右目が激痛を訴えたのだ。
あまりの痛さにカインが膝をつく。今にも眼球を抉り出しそうなカインをファイが必死で止めるが、もうその手は完全に眼球を捕らえていた。
レンはレンで身動きひとつできず、ケビンはここから逃げ出す算段を必死に考える。
しかし、王はそんな惰弱な生き物に興味はないと言わんばかりに小さな炎をこぼし、大きく羽ばたき天へと舞い上がる。
そのまま彼は去っていったが、三人は動けずに、カインが右目を抑えながら立ち上がるまでその場に立ち尽くしていた。
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