2
「うおぉ…すっげえ…!!」
船を降りたレンの第一声に同調して、カインも感嘆する。
今二人の目の前には大きな街が聳えていた。
巨大な外見とは裏腹に、白レンガ造りの町並みが小洒落ているし、人工的に作られたシンプルだが細部を凝った街灯や道の脇に植えられた花が白い街を色とりどりに飾り付けている。
それでもどこか質実剛健な雰囲気があるのはハンターたちが眼下の過半数を占めているからだろう。
「ようこそサウィナズスの街へ!兄さん達、ぼんやりしてっとファンゴじゃなくて船乗りに轢かれちまうぜ?」
呆然と突っ立っていた二人の背を船乗りが豪快に叩く。そのオーバーリアクション共々周りから豪快な笑いを提供した。
憤慨しかけたレンを強引に押さえ付け、半ば引きずるようにカインはその場を離れた。
サウィナズスは人口約25万人という、アイリア大陸有数の大都市である。海に面しているため漁業と交易が盛んな街だ。海とは反対側を向くと草原があり、雪の積もる山脈が連なっている。そのため海よりの街であるにも関わらず山間で発展している農業も行われている。
「…だってよ」
レンが船着き場でもらった娯楽雑誌を音読しているのをBGMにカインはオババも言ってたじゃないと苦笑しながらも周りを見回す。
人・人・人の波。そこにいるなんにんの人達がハンターなのだろうか。
村の近くの町には行ったことはある。しかし規模が比べ物にならない。
溢れ返る人にもみくちゃにされながらカインはこれからの事を考える。
何しろ観光に来たわけではなくこれからここで生活して行かねばならないのだ。
まずは住居探しかと考えた後に、出発した時点で考えてなかったなと、なんとも要領の悪い自分をやや殴りたくなった所でレンがいないことに気が付いた。
「…レン?」
いないことを再認識したあとでカインは本気で自分をぶん殴るのを予定に組み込むか否か思案した。
[ 9/200 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]