14
そこから先は、無言だった。
先に行くといったファイの後をカインは暗い顔で追いかけた。先に行きこそすれど、ほって行かないのはファイなりの配慮だろう。
しかし、カインはそんなことどうでもよかった。
さっき、冷たい言葉でカインを突き放したのはファイだ。しかし、そのときのファイの表情をカインが見ていないわけがなく。
酷く、苦しそうにしていた。
それに、カインは薄らぼんやり覚えているのだ。前のゲリョス討伐クエストの際、ファイが自分の名前を必死に呼んでくれていたのを。
何か訳があるに違いない。しかし、その訳がわからない。
もやもやした気持ちを抱えたまま、カインとファイは洞窟の入り口に立つ。
中にはペイントボールと血の匂い。そして、寝息。
リオレウスが傷を癒すべく、眠りについていた。
[ 115/200 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]