13
「え?」
「さっき、何で庇った」
言われている意味がわからず、カインは思わず疑問符を飛ばす。ファイは先ほどとほぼ変わらない言葉を放った。
なんで かばった
その意味がカインの中で反芻し、理解できるまでほんの数秒の時間が必要だった。しかし、気長な彼女にしては珍しくカインの答えが纏まる前に苛立たし気に語尾を荒げる。
「私なんかを庇う前にリオレウスに攻撃できただろう、そしたらあの場でリオレウスは斃れてた。何で庇った」
「・・・」
足が急速に力をなくし、止まる。つられるようにファイの足も止まる。カインはのろのろとファイの顔を信じられないという風に見た。
そして、訝しげにファイを見た。
「だって、パーティだろ?」
「?」
「僕たち、仲間でしょ?当たり前じゃないか」
カインにとってそれはごく当たり前な回答だった。しかし、ファイにとっては異質な回答でしかなかった。
「仲間?私と君たちが?」
「え?」
「違うだろう、私はケビンに頼まれて手伝ってるだけだ」
「どういう・・・」
「仲間になったつもりはないってことだよ」
その言葉はカインの中の何かに深々と突き刺さった。そして、ファイ自身にも。
「ただ、よく会うからつるんでる。それだけの薄い関係だ。それに、私には仲間なんていらない。邪魔だから」
この言葉は、カイン以上にファイの心に突き刺さって、血を噴出させた。
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