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手続きも済み、いざ行こうとしてエルベがケビンを呼び止めた。三人は既に竜車に乗り込んでいる。
「…気をつけなさいよ」
「いや、Cクラスでも火竜だし当たり前だろう」
「そうじゃないわ。いや、そうなんだけど…今、あんた達の行くエリアリオレウスが二頭確認されたそうよ」
「なんだと…!?」
「あたしもガセだと信じたい。でも目撃者が後を絶たない。今回は火竜一頭の討伐なんだから間違ってもフリーハントなんて考えんじゃないわよ」
「…分かった。忠告ありがとうな」
ケビンはくしゃりとエルベの頭を撫でる。柔らかな栗色の毛がケビンの手の動きに合わせて動く。
離れて行く手の平の感覚は、4人を乗せた竜車が見えなくなってもエルベの頭に残っていた。
「…無事に帰ってきなさいよ……!」
エルベの切ない呟きは、風に煽られて消えた。
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