D×D Bypar | ナノ




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「リオレウス狩りに行くか?」

ケビンの一言でカイン、レン、ファイのお馴染みのメンバーが揃ってきょとんとしたのは、例によって酒場−−−−−−ではなくカインとレンが下宿している宿舎にあるケビンの部屋だった。収穫祭も間近に迫っており、手伝いを頼まれたのだ。
ワイシャツにジーンズと言うラフな格好をしたカインは、祭の装飾である造花を束にしながら口を開く。

「…どうしたんですか?急に」
「いや、もうじき収穫祭だろ?」
「それとリオレウス狩りがどう関係があるんだよ」

そう言ったのはパーカーにスエットと言うこれまたラフな格好のレンで、こちらはカインが束にしている造花を作っている。流石は器用貧乏といった所か、綺麗な形の花が次々とできていた。
ケビンはお前さん達は知らんかと呟くと詳細を教えてくれた。

「この時期になると縄張り争いに負けたリオレウスが人里や街を襲うんだよ。傷を癒したり空腹を満たしたりするためにな」
「…でも僕達がいって大丈夫ですか?」
「んー、今のお前さん達ならなんとかなるだろう。相手もCクラスだしな」
「クラス?」

レンができた造花をぽんと床に放りながら首を傾げる。その手は既に次の造花を作るために材料を掴んでいた。
ケビンも看板に色を塗りながら答える。

「狩人に定められてる制度だな。下から初心者のC、並のB、一流のA、更にその上を行く特A、S、G、DDがある。ランクが低いと報酬の少ないクエストしか受けられない。逆に高いとハイリスクな仕事がテンコ盛りだ」
「はい質問。DDて何?」

律儀に手を挙げるレンに苦笑しながらケビンは刷毛にペンキを付ける。

「DDてのは、Dragon's of the Death(竜達の死)、つまり単騎で複数の飛竜種を倒しちまう連中のことだな。2、3年前に最後のDDが死んで今は空席だが」
「なんでそんなに強いのに死んじまったんだ?」
「病気」

レンの疑問に答えたのはファイだった。黒い細身のワンピースの袖をまくりながらカタカタとタイプを打ち、チラシと貼紙を作っていた。写し版でもあればいいが生憎ケビンはもっていない。
タイプのキーから目を離さずファイは続ける。

「…5年前に末期の肺炎起こしたの。それなのに治療も受けないでリオレウスばっか狩りに行ってたから火山灰とか粉塵とかで病気の進行早まっちゃって、余命宣告された日の3年前に死んだ」
「…何て言うか、なあ?」
「馬鹿」

レンが思っていたことをファイはさらりと言ってしまい、ケビンが苦笑する。不機嫌になっているのカインを視界にいれながら別の色のペンキを自分の手元へ引き寄せる。

「取り合えずお前さん達もランクアップするためにそろそろ行っておいてもいい頃だろう。いざって時には俺とファイがいるしな」
「まて、何故私もなんだ」
「俺が暴れん坊のこいつ等の面倒を一人で見切れると思うか?」

ファイはそれっきり沈黙した。




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