D×D Bypar | ナノ




10

カインは膝の上でうとうとしているチエリーを撫でながら「週間狩りに生きる」に目を通していた。チエリーが頑張って看病してくれたお陰で(勿論食事の用意はケビンがしたのだが)若干けだるさがあるものの、殆ど回復している。
と、ただいまとかなり小さなレンの声がした。

「あ、お帰り。今日はごめ…ん…」

自分の体調不良のせいで予定を狂わせてしまったことを詫びようとしたカインの声は消えた。
と言うか、声が出なかった。

「…レン君?」
「何も言うな」

チャチャを抱えたレンの頭の上に、生まれて間もない銀色の子竜がきょろきょろと部屋を見回していた。





チャチャが持ってきた卵が孵化寸前だったらしく、しかし追いかけ回され疲れ切っていたチャチャがそのことに気付かなかったらしい。エルベとレンの目の前でかえった。
竜種に限らず、殆どの生き物は生まれてすぐ見たものを親だと思い込む。もし子竜が最初に見たのがエルベなら、ギルドの方でどうにかできただろう。しかし悲しいかな、子竜が最初に見たのはレンだった。
レンを親だと思った子竜は小さく鳴くとレンの頭にへばり付いて離れなくなった。これは、子竜が親竜に甘える仕種で、子竜がレンを完全に親だと認識した証拠でもあった。



「…どうするの?」
「エルベが婆ちゃんに掛け合ってくれるってさ」

美舟ならば融通をきかせてくれそうだが、何しろチエリーの件がある。
あまり期待できないと思っていた二人の心配は、しかし次の日の「あなた達なら任せられるわね」と満面の笑顔で言い切った美舟によって玉砕されたのがこの話のオチで。


カイン達の新しい家族に「シルバ」と言う名のリオレウス希少種の子竜が加わったのだ。






ちなみに、クエスト自体は失敗だったので報酬は無しだったらしい。


「俺がんばったのに…!」


ドンマイレン(笑)



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