8
話を戻しまして、今の状況から。
取り合えず鳥竜種(+イャンクック)を落とし穴に嵌め、レンが一息つく。
「…あぁ、怖かった………」
それは途方もない切実さを込めて呟いた台詞だったが、残念ながらチャチャには伝わらなかったようで。
「レン、レン。ちょっと見てみるっチャ」
「あ?なんだよ…!!!」
進められるがままに穴を覗き込んだレンの顔から血の気がひいた。
大きな穴に、色とりどりの鳥竜種がはい出ようともがく。遠目から見ればのたうち回る色鮮やかな芋虫に見えなくもない。
ただえさえ気持ち悪い光景だと言うのに、鳥竜種恐怖症のレンがそれに堪えられるはずもなく。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!」
絶句しながら気絶した。
「お〜いレーン、起きろっチャ〜」
チャチャがぺちぺちとレンの頬を叩くが目が覚める気配はなく。
「あーあ、起きないっチャね…情けないっチャ」
気絶をけしかけたのは自分だと言うのにまるでレンが悪いみたいに呟きやれやれとため息をつく。
取り合えずこのままにしておくのはいただけないのでチャチャはレンの右足を掴み引きずりベースキャンプへ足を向けたのだが。
「チャ…っ!!」
突然暴風が巻き起こり、吹き飛ばされそうになるのを堪えながら、チャチャは空を見た。
夕焼けに輝いた翼は金色。
「リオレイア…希少種…!」
幻と言われる、金の大地の女王。中々番にならない彼女。
あまりの美しさ故に彼女は大地から解き放たれた。故に彼女はこう呼ばれることがある。
夜の月姫と。
リオレイアは穴の鳥竜種達目掛け、勢いよく頭から突っ込む。耳を劈く悲鳴や断末魔が聞こえたのは一瞬後だった。鳥竜種達が餌になっているのは言うまでもないだろう。チャチャは急いでレンを引きずり逃げる様にベースキャンプへ戻って行った
[ 98/200 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]