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追いかけ回され、追いつかれそうになったら散弾を撃ちまくり、しかし視界に入れるのさえ悍ましいと言わんばかりにレンは悲鳴を上げながら走り回った。
その結果。
「「「「「「ギャアァァァアッ!!」」」」」」
「クワァァァァア!!」
「ちっきしょぉぉぉおぉお!!」
他の、レンに興味を持たなかった鳥竜種たちが興奮し加わった上、何処からきたのかイャンクックまで追い掛けてきたのだ。徹甲留弾や光玉を駆使し逃げ回っていたのだが、精神的に限界が来ていた。
「く、くそ…チャチャあいつバックレたんじゃねえだろうな…!?」
ぜえぜえと息も絶え絶えのレンの視界に、ピンク色の煙花火が写る。
その瞬間レンは弾かれたように花火の打ち上がった方向へ、猛然と突っ込むように駆け出した。
「あの野郎遅すぎだっつーの!!」
額に青筋を浮かべてそう叫んだ。
「へぶしっ!」
その頃チャチャは、開けた所で何かの作業を終えた所だった煙花火の発射台を片付けながら豪快なくしゃみをする。
「チャァ…レン当たりがオレチャマの悪口言ってるっチャね」
そんなことをぼやきながらのほのほと発射台を自分用の荷物入れにしまい込むと同時にレンがこけそうな勢いで茂みから飛び出してきた。
その直後、爆発音に似た轟音が響き、細い木々や草花を薙ぎ倒しながら鳥竜種とイャンクックが飛び出してきた。
「チャチャてめええええええ!!」
「怒られる意味が分からんっチャ!!」
恐慌状態のレンはとりあえずチャチャに八つ当たりし一直線に走る。そしてある地点を越えた辺りで頭から滑り込んだ。その背後では先頭を走っていたイャンクック、ドスジャギィ、ドスランポスが我先にと言わんばかりに飛び掛かる。しかしその牙と嘴がレンに掠めることはなかったが。
「「ギャッ!?」」
「クァ!?」
突然地面が陥没し、深い深い穴に三頭が落下した。勿論その後ろを走っていたドスバギィ、ドスゲネポス、ドスイーオス、ドスギアノスが勢いを殺しきれずに続いて落ち、更に後ろを走っていた子分達が勢いよく落ちていく。
チャチャの空けた自称「ウカムルバス三頭落とせる落とし穴」に全ての鳥竜種+イャンクックが落ちた。
「自称は余計だっチャ!!」
…確かに大きいが三頭は無理だろ。せいぜい二頭じゃね?
「うっさいっチャ!お前ナレーションの仕事ちゃんとしろやい!」
失礼な!ちゃんとしとるわい!!
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