6
「これは、どうしたんだ」
ソーマの再びの質問(尋問ともいう)にファイはただひたすら自分を押さえつける男を睨みつける。コウタはことの成り行きを見守るほかない。
そして、ファイが口を開いた。
「・・・聞いてどうするんだ」
「別に何も。ただの気まぐれだ」
「なら話す理由も・・・いぁっ!?」
ファイの反抗的な台詞を最後まで聞かず、ソーマはファイの火傷のひとつに容赦なく爪を立てる。悲鳴を上げたファイにコウタはさすがにやりすぎだろうと制止にかかったのだが。
(止めるな)
(いや止めるだろ普通は!)
(いいから)
(・・・?)
コウタはソーマが本当に好奇心と気まぐれでファイを追い詰めているわけではないらしいと察し、口を閉ざした。
ただ、その口調は非常に自分勝手なものだったが。
「さっさと吐け」
「っう・・・わ、かったから・・・!」
くち、と再び爪を食い込ませてやればファイはあっけなく降参した。
その言葉を聴くと同時に手を離したソーマを睨みながら、ファイはいたってしぶしぶと口を開いた。
「虐待だ」
あまりにもあっけからんと言われた台詞に二人は一瞬どう反応すればいいのかわからなくなった。
[ 84/105 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]