クレイジーイーター | ナノ




4

病室は、惨状と呼ぶに相応しい図になっていた。医療器具やワゴン、はたまたベッドまでひっくり返っており、数人の医者やそのアシスタントの白衣は薄汚れている。その中心には、インナー姿のファイが立っていた。
ファイが暴れたのは間違いない。

「と、取り敢えず落ち着こう!君の手当ても…」
「煩い!していらない!」
「しかしその傷はほって置くと膿んでくる可能性が」
「だからなんだ!!」

がしゃん、と輸血パックを投げ付けてそこで初めてファイは呆然としているソーマとコウタに気が付いた。

「!」

気のせいだろうか、ファイの目が一瞬怯えの色に染まり、すぐに睨み付けたかと思うと掛けてあったボロボロの制服を引っつかみ一目散に病室から飛び出した。
待ちなさい、という声と共に数人のアシスタントが続いて飛び出して行くのを見ながらコウタはソーマに問い掛けた。

「なぁソーマ…ファイの背中、見た?」
「…ああ」

ほんの一瞬、インナーの隙間から見えた背中には、今日の傷と爛れた皮膚が僅かに血を流していた。



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