クレイジーイーター | ナノ




5

ふん、と鼻を鳴らすファイの頭に、三つの衝撃が襲い、二つの戒める声が聞こえた。

「何やってるんですかあなたは!」
「もう部隊員じゃなくて隊長なんだからせめてオブラートに包みなよ」

憤慨しながらファイを諌めるのはアリサで、呆れながらため息とともに注意を促すのはミカドだ。
ちなみにファイの頭を叩いたのはソーマとサクヤ、レオンの三人だ。

「お前な、お前のしでかしたことを一々片付けなきゃ行けない俺たちのことをもっと考えて行動しろよ」
「それはすまないなライオン君、あいにくだがわたしは今機嫌が非常に悪いのでその要望には全くもって応えてあげる事ができない」
「普段からだ馬鹿野郎!!」

唇を尖らせ悪態をつく小さな隊長に、馬鹿でかい隊長補佐ががおうと吼える。拗ねた子供のようなリアクションをとるファイにサクヤは諭すようにフォローを入れた。

「ファイ、あなたがアリサとソーマのために怒ったのはわかってるわ。でも、あなたはもう一兵卒ではないの。あなたの発言でアナグラ皆の戦意が喪失してしまうこともあるの。それがどれだけ大変で、いけないことかはわかるでしょう?」
「・・・」
「返事」
「あう」

ぐにっとサクヤに頬を引っ張られ大層不細工になったファイは、しかしこれだけは言わせて貰うぞといわんばかりに口を開いた。ソーマと、アリサに対して。

「お前ら、もっとしっかりしろ」
「「は?」」
「お前らがしっかりしてくれないと死人共が成仏してくれない上にわたしの安眠が確保できない」
「!」
「ふぁ、ファイそれって・・・!」

ソーマとアリサには何のことかわかったらしい。だが、詳しくは語らずにファイはするりとサクヤの手を離れ故人達の下へ戻る。
後には呆然とするソーマとアリサ、何のことだと首をかしげる補佐二人とサクヤが残された。



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