クレイジーイーター | ナノ




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ファイが一直線に向かった先は数人で固まっているゴッドイーターのグループだった。彼らは凄まじい勢いで歩いてきているファイには気づかず馬鹿笑いを上げお喋りに興じていた。

「つかよ、あの根暗今更態度変えた所で俺らが認めるとでも思ったのかね?」
「聞きゃああいつ前支部長の御曹司だったんだろ?親の七光りでも使ってんじゃねえのか?」
「ぎゃははは!そりゃあ言えてる!」
「つかあのロシアの新型もうざくね?リンドウさん殺しかけといていざ帰ってくると犬みたくくっついてやがる」
「媚でも売ってるつもりなんかね?」

そんなことを人目もはばからず、さらに当人達が受付でミッションを受注しているにも関わらず大声で喋るゴッドイーターたちに、ファイは。

「おい」
「なん・・・!?」

どかん、と壁に足を叩きつけ、壁を粉砕した。

「なっ・・・」
「貴様等」

元より幽霊三人組の所為で悪かったファイの機嫌はマックスを超え、いうなれば氷点下だった。
大して下級のゴッドイーターは突然のファイの介入に驚きを隠せない。
何故なら、今や彼女は神薙ユウ、加賀美リョウと共に並ぶ第八ハイブの守護筆頭の一人なのだ。今本部に所用をこなしに行って彼らがいない今、事実上アナグラ最強のゴッドイーターは彼女だ。
そんなファイに凄まれ下っ端とも言える彼らが腰を抜かさない訳がない。
一瞬にして怯えの色に染まったゴッドイーターたちに追い討ちをかけるようにファイは呻いた。

「その不快でゲテモノ以下の声を今即座に即刻呼吸ごと止めろ・・・」
「ひっ・・・!?」
「じゃないとわたしは、次のミッションでうっかり貴様等をディアウス・ピターの餌にしてしまいそうだ」

その台詞にもはや声も出せないゴッドイーターたちに、ファイは止めを刺した。
それは、最強部隊である第一部隊隊長が本来言ってはならない禁句のはずだ。
だが、リョウやユウのように信念があるわけでもなく、未だ人が嫌いな彼女は軽々とそれを口にできてしまうのだ。

「それとも、演習と言ってわたしが直々に殺してやろうか?」

黄緑の瞳が瞬く間に深緑に変わって行く様を、果たして勢い良く逃げ出した彼らは確認することができたのだろうか?



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