クレイジーイーター | ナノ




3

だがそんなファイの心境などまったくお構い無しの三人は和気藹々と会話を楽しんでいる。

『うーん、こんなに早く死んじゃうならもうちょっとアリサ甘えさせてあげたらよかったかなあ』
『それを言うなら僕もだよ。せめて欲しがっていた服をエリナに買ってあげてからが良かった』
『私は・・・もう少しソーマに年相応の楽しみを与えてやればよかったのかもしれんな』

なんて和気藹々からしんみりした空気を出す死人共に、ファイは思った。

(だったらさっさと成仏でも何でもして生まれ変わってろ。大丈夫だ、貴様等なら同じ人間に生まれられる。だからさっさとわたしの前から消えうせろ)

しかし、そんな心の声は駄々漏れだったらしく、オレーシャとエリックがひどーい!!とわめき、ヨハネスはさすがに同じ人間には無理だろうと苦笑して、ふと寂しそうな表情を浮かべた。

『しかし、こんなことならソーマを・・・息子をもっと愛してやればよかった』

彼は知っているのだろう、ソーマが死神といわれており、そして今もなおそんなくだらない影口を叩くやからがいることを。
それを言うならオレーシャもアリサがリンドウの件について未だ根強く恨み言を言われているのを知っているしエリックもわめくエリナがうっとうしいとほかの心無いゴッドイーターに言われているのを知っている。
そして、それは今も近くで誰かがぼやいている。ファイの耳にも届いている鬱陶しい悪意。弱いくせにしつこいそれ。
だが、彼らは所詮口のない死人なのだ。かばうことも、守ることも、もうできない。

途端おとなしくなる三人に、ファイはちっと舌打つ。そして急に立ち上がると踵を返す。



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