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「…コウタ、ちょっと落ち着け」
取り合えずコウタを宥めようとしたリンドウに、コウタは宝物でも見つけた子供のようなリアクションでファイの顔をがしっと掴んだ。
「リンドウさんも見てくださいって!」
「コウタ君…ファイは一応女だぞ…?」
「分かってますって!いいから早く!」
急かすコウタにやれやれとため息をついて、ファイの顔を覗き込んだリンドウは息を飲んだ。
不愉快そうに目を反らしたファイだ。それはまあ珍しくもない。珍しいのは、ファイの目だった。
普段若草を思わせるファイの黄緑の目は、河の上流にある岩に生えた苔を思わせる暗い緑に変わっていた。
「こいつはまた…」
「凄いでしょ!?さっきは翡翠みたいだった!」
興奮してはしゃぐコウタとは対照的に、ファイの表情は嫌悪に塗れ、目も黒に近い緑となっていた。
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