クレイジーイーター | ナノ




2

「お、ファイじゃん。おーっす」
「・・・」

エントランスで何をするでもなし座っていたファイにコウタは声をかける。あの暴れっぷりを見てもなお声をかけようとする勇者はコウタの他にタツミとブレンダンとリンドウくらいだ。人は彼らを馬鹿と呼ぶ(ミカドはファイの扱いを良く知っているので除外する。

基本声を掛けられると無視する傾向のあるファイにはもう慣れたらしく、無言を返されたことにたいした疑問を持たず、コウタは勝手に隣に座る。その瞬間ファイが少し離れたところに後退るがそれももういつものことなので何も言わない。いわないだけで少し傷ついていたりするのだが。
それでも話しかけたりしてしまうのがコウタなのだが。

「今日お前非番なの?」
「・・・なんで」
「んー?なんとなく?」
「・・・非番」
「そっか。俺もなんだー」
「・・・そう」

会話終了。しかし、ここで無理やり会話を繋げるのがコウタなのだ。だがしかし。

「へー・・・あんた普段もだけど非番の時一体なにしt」
「ぼんやりしてる」
「・・・あ、そう」

そんなコウタを完膚なきまでに黙らせるのはファイなのだ。
ある種珍しい組み合わせではあるのだが、不思議なことにコウタの前でファイは奇怪な言動が減る。その代わり沈黙が増えソーマが一人増えたような状態になるのだが。

それでもコウタはファイに話しかける。ファイは無言で聞いているないし黙らせる。そしてわりと一緒にいる。
少し前までは、当たり障りのない関係ではあったのだが。



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