13
ぽかんと口を開けて荒い息を吐くコウタを見るミカドに、アリサは静かに口を開く。
「急じゃなくてもいい。だから、少しだけ本当のこと言ってくれませんか・・・?」
今まで、苦しかったんじゃないんですか?
そうアリサにミカドは左目から何かが伝うのを感じて、それを拭う。涙だった。
「・・・あ?」
訳が分からない。何故今自分が泣いているのか。
泣く理由が分からない。分からない。そもそも泣いていいのか。
「全部騙し続けて辛いなら、俺たちが本音位聞いてやるからさ」
「全部じゃなくてもいいです、百分の一でもいいですから」
「「だから、少しだけ信じて?」」
右手にアリサ、左手にコウタの温度を感じて自分が手を握られていると、信じていてくれると分かった瞬間。
「ごめ、な、さ・・・!」
今までの謝罪と後悔と苦痛を、耐え切れずに吐き出していた。
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