クレイジーイーター | ナノ




12

「どう?俺の過去話。面白かった?」

おどけて言うミカドにアリサは沈黙を通し、コウタはというと。

「っの!!大馬鹿野郎が!!」
「ぐっ!?」

痛いほど握り締めた拳に全体重を乗せ、ミカドの頬に叩きつけた。
静止する間もなかったその行動に虚を付かれたのはミカドだけで、今度はアリサもとめなかった。それ所か、コウタの殴った頬を再度、細い拳で打った。

「本当に、大馬鹿です!!馬鹿すぎてドン引きです!」
「な・・・!?」
「自分に嘘つくだとか、父親が詐欺師だから自分も嘘つきだとか、言い訳にしか聞こえません!!」

あまりのことに絶句し、言葉さえ発することのできないミカドにアリサとコウタが怒涛の勢いで捲くし立てた。

「大体、あんたの父親はあんたの為に人騙して殺してまでやったんだろうが!それを父親が詐欺師だから自分も嘘つきですだって?冗談は寝て言えよ!」
「それで自分を責めたら責めたで怒りますけど、そこからさらに自分に嘘ついて逃げたなんて一発殴るじゃ許されません!」
「っ・・・あんたらに、何がわかるって言うんだ・・・!」

低く呻くミカドに一瞬二人はビクついたが、コウタはさらに食らい付く。

「わかんねえよ!わかんねえから知りたいんだ!それなのに嘘付くから余計わからなくなるんだろ!」

それは、コウタのわがままのような願いだった。
元々コウタはソーマにしろアリサにしろ、全てとは言わないまでも理解して仲間になりたいと思っていた。他のメンバーやゴットイーターもまた然り。
ミカドの今までを全否定してでも、彼を、本当の意味で仲間になりたいと思っている。
今までのこと否定して、許したいと思うからこそ、最初のミカドの小さな嘘でコウタは切れたのだ。


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