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「どうかした?」
「え?あ、なんでもありません」
不思議そうに首をかしげたコウタにアリサは慌てて首を振る。そんな様子を見ながらミカドはくつくつと笑う。
「・・・なんですか」
「いや、仲いいなあと思いまして」
「あはは、だ・・・」
「はぁ!?そんな訳ないじゃないですか!」
アリサが全力で否定したのをコウタがジト目でオイとつぶやく。もちろんアリサは照れ隠しで本気でそう言った訳ではないのはちゃんと知っているのでため息をつく程度だが。
そんな二人のやり取りでさえ面白そうに見ていたミカドは、ふっと息をついたのをアリサは見逃さなかった。
「どうしました?」
「?いえ、特には」
先ほどの吐息は無意識だったらしくミカドも首を傾げている。しかしアリサには何だか嘘臭く感じた。なぜかはわからないが。
だが、その場の空気が一変したのは以外にもコウタの発言からだった。
「嘘吐け」
「え?」
先ほどアリサに向けていたものとは別のジト目がミカドの隻眼を捕らえていて、不服だと口より遥かに雄弁に語っていた。
それが分からないほど鈍くないミカドは、しかし訳が分からないと眉間に皺を寄せる。
コウタはふぅとため息をつくと口をへの字に曲げた。
「自分の思ったことくらい言ったらどうなんだよ?」
「何が・・・」
「だから、嘘つくのやめろっての」
置いてけぼりを食ったアリサはただ二人のやり取りを見守るしかできない。どんどん剣呑になってくる雰囲気に、コウタはとうとう留めを刺した。
「そんなに本当のこと晒すのが怖いのか、この詐欺師」
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