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はてさて、そんな彼等を尻目にもかけず、アリサはプールに浸かることに成功していた。一応レオンの腕を支えにしているのだが、やはり冷たさにはなれずもう出たいという考えが頭を支配し始めていた。
だが。
「アリサ」
「なんですか・・・きゃああああ!?」
レオンが声をかけたと思った瞬間、アリサは水中へダイビングしていた。いや、ダイビングしていたというのは語弊がある。正確にはレオンがしがみついていたアリサもろとも水中へ潜り込んだのだ。
一瞬とはいえアリサが大変驚くのも無理はなくとんでもなく大きな悲鳴がでた。
それこそ、戦争を展開していたコウタとソーマが硬直し、半分うたた寝していたリンドウが目をばっちりあけミカドの顔に落書きしていたサクヤが振り向き気絶していたミカドが飛び起きるくらいの悲鳴だった。
「なっななななななな」
動揺し過ぎてまともに喋れなくなったアリサにレオンはぷっと吹き出し、濡れた頭に手を置いた。
「こんだけ驚きゃもう怖いもんもねえだろ」
「あ、当たり前です!!何考えてるんですか!?」
「まぁ確かに多少荒療治だったけどよ…ぐずぐずしてるよか大分楽だろ?」
「あ…」
そういえば、と呟いたアリサの頭を少し乱暴に撫でて、ほらと手を差し出すレオンにアリサは内心ため息をつく。
(全く…この人は…)
粗悪で乱暴でぶっきらぼうでおおざっぱな癖に、こういう他人の心情の細かい所に目敏い。
だから、アリサはレオンには安心して手を預けられるのだ。
レオンの手を借りて、泳ぎ出したアリサを見てサクヤとリンドウはふ、と微笑んだ。
(突発的に書きたくなりオチを全く考えてなかった話←アリサとレオンは兄妹的な感じで仲が良いといいなと言う妄想)
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