クレイジーイーター | ナノ




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「・・・・・・・すごく不本意です」

そんな不機嫌なアリサの声が響いたのはアナグラ内にある広いプールゾーンからだった。何故今のアラガミ不景気な世の中でこんなものがあるのかはまあ突っ込まないでおいてくれるととてもありがたい。
目の前で揺れている水面を睨みながらアリサは自分の姿をもう一度見て、眉間のしわを寄せる。

プールサイドにいるのだから私服でないことは間違いない。プールにいるのならプールに従えといわんばかりに榊から渡されたのは真っ赤なビキニだった。
名目は第一部隊の水中トレーニングだが、間違いなくコウタ希望の水遊びだ。リンドウが賛同していたのをアリサは知っている。その証拠に隣に立つコウタの手には水鉄砲が握られている。リンドウ、ミカドの手にも言わずもがな。そしてまさかのソーマの手にも水鉄砲が握られているのを見たときアリサはあなたもですかと突っ込んだ。もちろん帰ってきたのは沈黙だけ。
そんな状態のアリサに苦笑し、肩に手を置いたのはサクヤだ。非常に露出の多い緑色の水着を着ている(着させられている)彼女ならアリサの気持ちがわかるはずだ。と、思っていた。思っていたのだが。

「アリサ、そんなに落ち込んでてもしょうがないわよ」
「サクヤさ・・・」
「楽しめるときは思いっきり楽しまなきゃ」

なんと二丁も水鉄砲をもち、脇にはビーチボールを抱え、遊ぶ気満々の体制のサクヤがアリサに向かってぱちんとウインクした。アリサは呆然とサクヤを見ていたが、リンドウの呼ぶ声に嬉々として向かっていったサクヤに盛大なため息を送った。



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