クレイジーイーター | ナノ




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臭いからして、散らかっているのだろうという想像はあまり間違ってはいなかった。
しかし、別の意味でリンドウの想像は外れていた。

ファイの部屋は、散らかっている。確かに汚い。
しかしそれは、ごみが散らかしっぱなしと言う類のものではなく大量の画材や石膏が乱雑に置かれていたからだった。
そう、ファイの部屋はアトリエのようになっていた。
床には石膏の滓や絵の具が散らばり、部屋の隅に置かれているダンボールには無造作に作りかけの石造やキャンパス、そして今まで任務で拾っただろう石が積まれている。箪笥の上にあるのは水彩画を描くための道具と趣味のひとつだろう、分厚い本がおいてある。筆の突っ込んであるバケツの水は汚い色に染まっている。ベットの上も言わずもがな。しかし、ギターと楽譜がおいてあるあたり音楽にもはまっているらしい。枕はソファーの上に、タオルケットとともに適当においてある。流し台の食器置きにはパレットやら刷毛やらが大量に適当に干してある。
そして、部屋の主は窓の前で絵を描いていた。

制服の上から白地にいろんな色のまだらが付いた、よれたエプロンをして、片手に筆、もう片手にパレット、口には極細の筆を加えて一心不乱に手を動かしていた。



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テーマ「人外ファンタジー」
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