クレイジーイーター | ナノ




6

「ほい、お待ちどおさん」

ごと、と豪快に置かれたビーフストロガノフにコウタがうおー!と歓声を上げる。ソーマも無言無表情ではあるが握られたフォークがわずかに揺れている。行動がいちいち素直な奴だとリンドウは本日二度目の苦笑をもらす。
と、レオンはじろりとリンドウを見た。

「・・・で、なんであんたもいるんだよ」
「ん?お前、上司を省けにするつもりか?」

見張りのついでと言わんばかりに席に着いたリンドウにレオンはぐぅと呻く。そう不服そうな態度をとる割りにしっかり四人分作っているあたりレオンはまじめだと思う。

「ねね!早く食おうぜ!もう俺腹へって倒れそうだよ」
「そうだな」
「待て、何であんたが仕切r」
「「いただきまーすっ!」」
「・・・」
「無視かよ!」

レオンの抗議もなんのその、コウタとリンドウは仲良く声をハモらせ、ソーマは無言でビーフストロガノフにフォークを突き立てる。コウタはカルボナーラ、リンドウは無難にと言わんばかりにサラダから手を出す。

「っうま!めっちゃうま!」
「・・・」
「確かに。お前いい嫁になれるんじゃないか?」
「・・・」
「いや、嫁になってどうすんだよ。婿じゃないのか」
「・・・」
「んー、主夫とか?」
「・・・・・・」
「そいつもそうだ・・・ってソーマなんか喋れ」

無言で、しかしかなりの速度で食事を取るソーマにリンドウがつい突っ込みを入れる。だがソーマは無言で咀嚼と嚥下を繰り返すばかりだ。せめてうまいくらい言えと呟いたリンドウにソーマは一瞬動きを止め、レオンを見る。

「・・・うまい」
「へ?」
「・・・」

それっきり黙りこみ再び食べ始めたソーマに三人は一瞬唖然とし、リンドウが噴出した。




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