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そして今現在、レオンの部屋。
(なんであんなこと言ったんだ・・・)
食材片手にレオンは後悔していた。背後におかれているソファーにはコウタとやはり無理矢理連行されたソーマが掛けていた。意外にも整った部屋にコウタは感嘆の声を上げる。
「意外だなー。もっと散らかってると思ってた」
「うるせーよ。散らかってっと面倒だろ」
「だって、その見かけでねぇ?」
「確かに」
「ソーマてめえも感心すな!」
がおうと吼えたレオンにコウタはにっひっひと笑い、ソーマは無表情のままなぜか震えていた。
「?どしたのソーマ?」
「寒いのか?」
いつもの無愛想なソーマにあらずのリアクションに、コウタとレオンは心配して声を掛ける。しかし、返ってきた返事は非常に、もう本当に物凄く失礼なものだった。
「・・・お前、エプロンに合わなさ過ぎだろ」
「ぶっ!!」
やはりソーマらしからぬ台詞にコウタが豪快に噴出す。どうやらソーマは笑い出すのを堪えていただけらしい。レオンは握っていた卵のパックをぐしゃりと握りつぶした。
確かに、紺色の男物のエプロンとはいえ、もともと料理ができるイメージのないレオンがつけると非常にちぐはぐしている。
「ソーマてめえええええ!!」
「似合わねえお前が悪い」
「ちょっとソーマそれ以上本当のこというなって!!」
「本当のことだろう?」
「このクソガキぃぃぃ!!」
とうとう怒りのボルテージが限界を突き破ったレオンはたまねぎ片手に二人を追い掛け回し、コウタは面白がりながら逃げ、ソーマも表情こそ出しはしなかったがどこか楽しそうに逃げ回った。
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