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「ファイ命令だ、止めろ!」
「聞こえないの!?」
コウタとリンドウが叫ぶが行動は一切止むことはない。しかし、ファイの凶行は唐突に終わりを告げた。
ソーマがファイの小さな体を投げ飛ばしたのだ。
ファイが壁にぶつかり呻くのも無視して、捕食形態へと変化させた神器をオウガテイルだったものに食わせ、ソーマは無言で捕食させていた。動かなくなったファイにリンドウが駆け寄り、悠々と自分の用事を済ませたソーマにコウタが掴み掛かる。
「ソーマあれはやりすぎだろ!
「ふん、だったらお前はあれを止めれたのか?」
「っ・・・それは・・・」
くい、と顎先でファイを指したソーマにコウタは言葉を失い、胸倉を掴んでいた手を離す。ソーマはやはり何事もなかったかの様に音楽を聴き始めた。
リンドウは動かないファイを覗き込み、背筋が冷えた思いがした。くたりと投げ出した四肢には先ほどの力強さはなく、感情をあまり灯さない目は力なく閉じて。
死んでいるように見えたのだ。
「っおい、ファイ起きろ!」
「っ・・・ん・・・?」
だから、小さく呻いたときはとてつもなくほっとしたのだ。
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