クレイジーイーター | ナノ




5

残った二体はその場で踏鞴を踏んだ。餌だと思っていた敵は、圧倒的な力で仲間を三体、ほぼ一瞬で葬り去ってしまったのだ。

しかし、彼らとて本能から来る飢餓感を無碍にはできず、今度はタイミングをずらして襲い掛かる。

一体目がファイの真上に飛び上がった。

「刃を握れ」

ぎりっ、と握られた柄はほんの少しだけきしみ、欠ける。それさえも無視してファイは真上にロングソードを突きつけ踏み潰さんと落ちてきたオウガテイルを貫く。

「牙を殺げ」

そのままソードを振り回しオウガテイルの胴体を二分割すると頭めがけてソードを叩きつけるように振り下ろす。血が舞って後、黒い霧が霧散する。

「憎悪を携え」

最後のオウガテイルが牙を剥く。ファイは血走った目をオウガテイルの口内へ向けた。
そこにアサルトへ形状を変化させた神器をつきつけ、打つ。

「神を殺せ!!」

ファイが、叫んだ。アサルトがノーマルバレットを打ち出す。弾はオウガテイルの頭を貫通し、後ろの廃墟にぶつかった。オウガテイルは一回痙攣すると動かなくなる。しかし、ファイはそれもかまわずロングソードへ変形させ、文字通りぐちゃぐちゃにし始めたのだ。

「ファイ、もういいやめろ!」

リンドウがそう叫ぶも、ファイは無視し、というか全く聞こえてないかのようにソードを振り下ろし続ける。恐ろしいほどの力で刃を叩きつけられた地面は哀れなほど耕され、オウガテイルの血を吸いやわらかくなっていた。




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