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残った二体はその場で踏鞴を踏んだ。餌だと思っていた敵は、圧倒的な力で仲間を三体、ほぼ一瞬で葬り去ってしまったのだ。
しかし、彼らとて本能から来る飢餓感を無碍にはできず、今度はタイミングをずらして襲い掛かる。
一体目がファイの真上に飛び上がった。
「刃を握れ」
ぎりっ、と握られた柄はほんの少しだけきしみ、欠ける。それさえも無視してファイは真上にロングソードを突きつけ踏み潰さんと落ちてきたオウガテイルを貫く。
「牙を殺げ」
そのままソードを振り回しオウガテイルの胴体を二分割すると頭めがけてソードを叩きつけるように振り下ろす。血が舞って後、黒い霧が霧散する。
「憎悪を携え」
最後のオウガテイルが牙を剥く。ファイは血走った目をオウガテイルの口内へ向けた。
そこにアサルトへ形状を変化させた神器をつきつけ、打つ。
「神を殺せ!!」
ファイが、叫んだ。アサルトがノーマルバレットを打ち出す。弾はオウガテイルの頭を貫通し、後ろの廃墟にぶつかった。オウガテイルは一回痙攣すると動かなくなる。しかし、ファイはそれもかまわずロングソードへ変形させ、文字通りぐちゃぐちゃにし始めたのだ。
「ファイ、もういいやめろ!」
リンドウがそう叫ぶも、ファイは無視し、というか全く聞こえてないかのようにソードを振り下ろし続ける。恐ろしいほどの力で刃を叩きつけられた地面は哀れなほど耕され、オウガテイルの血を吸いやわらかくなっていた。
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