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アラガミに見つかりにくいスタート地点にリンドウ達はいた。今回の面子はリンドウ、ソーマ、コウタ、そしてファイだ。
ソーマは相変わらず一人離れた所で音楽を聞いているしコウタはバレットを整えている。辺りの様子を警戒しながら、リンドウはちらとファイをみる。
適当な場所に座ったファイはロングソードの柄を額に当て目を閉じている。一見すると眠っているようにも見えるがその唇は動き、僅かに声とも吐息とも取れない音を漏らしていた。
「……れ……げ………え……せ…」
「…?」
それは、ゴットイーターの耳にさえ届かない音だった。同じ事を繰り返し呟くファイの言葉を聞き取ろうとしたリンドウの耳に、ソーマの低い声が響く。
「来たぜ、オウガテイルだ」
その声に、リンドウよりも早くファイが反応する。といってもぴくりと肩が少し動いただけだが、ソーマのアラガミ出現告知によって反応したのは明らかだ。
それを視界の端にいれ、リンドウはソーマの見ていた方向へ視線を移す。なるほど、オウガテイルの小さな群れが、餌を求めてうろついている。数は五匹。リンドウたちにはなんてことないが、新人には少々骨の折れる数だ。
「ファイ、敵さんだ。気合入れろよ」
「もう入ってる。入りすぎてこぼれた」
「いや!それだめだろ!こぼすなよ!」
コウタの突っ込みもなんのその、ファイはゆらりと立ち上がり、オウガテイルの群れを見下ろした。
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