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だって、あんなに辛い質問を投げかけたのは私なのに。答えをわかっていて聞いたのに。
彼は、そのことについて何も怒りも触れもしなかったのだ。
泣きそうな顔をしているアリサにもうこの話はおしまいとミカドが手を打つ。ぱん、という小気味良い音がして見ると、へらへら笑うミカドが立ち上がっていて、アリサを見下ろしていた。
そして、そっとアリサの髪に触れる。
「!?」
「うん、やっぱりきれいな髪」
そういって満足そうに笑って髪に触れた指が離れていく。
「俺、今から図書倉庫で本借りてきます。髪伸びて邪魔になったら言ってください。俺でよければ整えますから」
「・・・」
「じゃあ、また任務で」
服を翻して去っていったミカドに、アリサはつぶやいた。
「・・・ええ、お願いします」
きっと、彼には届かなかっただろうけど。
(何このシリアスもどき。×じゃないんです、+なんです。カプでなくコンビなのです。そのうち過去編かきたいなあ)
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