クレイジーイーター | ナノ




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あの、悲惨な新人紹介からはや三時間(対した時間ではないが)


サクヤは欠伸を噛み殺しながら朝食を摂るべくエントランスへ向かう。あそこは食堂や訓練所、大浴場や誰が使うか分からないプール等に繋がっている。
勿論サクヤの目的地は食堂だ。食堂なのだが。

「……………………」
「……………………」

先ほどエントランスを豪快に賑わせた張本人、ファイがぽつんと座っており、目があった。
あの暴れっぷりを目撃した直後に、声を掛けることは非常に回避したいところなのだが、目がばっちりあった上に同じ隊の新人を無視するなどサクヤには到底無理な話だ。

「あ、あら・・・おはよう」
「・・・3時間19分52秒ぶり」
「・・・細かいわね」
「適当だけど」

適当かい!という突っ込みを寸でのところで飲み込み、サクヤは気を取り直して会話を続けようと口を開きかけるがそれより早くファイが声を発する。

「・・・えっと、誰だっけ」
「っ・・・そうね、そうよね。まずそこからよね・・・・・・・」

先ほどは自己紹介どころではなかったのだから仕方がないとサクヤは自分自身に言い聞かせ、のそりと鎌首を擡げた苛立ちを落ち着かせる。もちろん先ほどはファイ自身のせいでもあったのだからそこは別に怒ってもいいところなのだが。

「私は橘サクヤ。あなたと同じ第一部隊の旧型の狙撃手よ」
「私は」
「あなたの自己紹介はさっき聞いたわよ。ファリィ=メティア、あだ名はファイでしょう?」
「お見事」
「いやだからさっき聞いてたって」
「私は特に興味を持たないと人の名前と顔を覚えられない」
「酷いわね」

もう、疲れてきた。サクヤがそう思い立ち上がろうとする。



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