クレイジーイーター | ナノ




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「初対面で痛いトコ突きやがって・・・」
「はは・・・ゴメンって」

新人区画の廊下をレオンとコウタは二人で並んで歩いていた。
あの後、何故か盛大に切れたファイを押さえつけるのに第一部隊だけではなくたまたま、本当にたまたま通りかかったブレンダンやカレル、タツミにも助けてもらいようやく事が収まったのだ。しかし、か弱そうな少女に引きずられるリンドウとソーマは非常に面白かったとコウタは笑う。

「でも、まさか会ったその日に喧嘩するなんて相当好きなんだな」
「ちげえよ馬鹿。ちょっと軽口叩いたらあのお嬢切れてきたんだよ」

ぼろぼろになっていたのはその所為だったらしく、二人だけであの暴れ少女を止めたのは賞賛に値するなとコウタは思う。
その表情を理解したのかレオンはむすっとしたまま口を開く。

「あの白髪とお嬢、同じ孤児院からきたらしい。白髪がお嬢の止め方わかってたからな」

さすがにエントランスでは無理だった見たいだが、とどこか馬鹿にした顔で笑うレオンにコウタも釣られて笑う。そして、ひとつのドアのところで二人の足が止まった。

「ここ、今日からあんたの部屋だよ。好きに使っていいんだ。まあ、寝るときくらいしか使わないけど」
「おう」

そうぶっきらぼうに言ってレオンは部屋に入ろうとして、コウタの正面に立つ。
役200cmのレオンに立たれてしまうとコウタはまるで小学生のように小さい。そして、やはり自分より大きな生き物が怖いと感じてしまうのは全生物共通の(アラガミはどうか知らないが)本能で。ぬっと伸びてきた手に思わず目を閉じる。

がしっ、わしわし。

「?」
「案内、サンキューな。明日から頼むぜ、小さな先輩」

コウタはレオンが部屋に入っていくまで、頭をなでられ礼を言われたことを理解できず、理解した瞬間「小さなは余計だ!!」と叫んでいた。




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テーマ「人外ファンタジー」
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