クレイジーイーター | ナノ




8

「ちょっとちゃんと言うとおりに動いてよ!右に三歩生きすぎだ単細胞!」
「うるせえよ!てめえこそむちゃくちゃな指示送んな!殺す気か!?」
「・・・」
「あっ、ちょ、ファイ携帯切らないでよ!」
「俺に言うなーーーーっ!!」

最悪だ。常に一人を好むソーマから見ても、この三人の、いや二人の相性は最悪だ。重要だから二回言った。
ファイが端子の電源を切った理由が痛いほどわかる。
遠くから聞いているというのにミカドとレオンが死ぬほどうるさいのだ。
それを理解せずそれでも口喧嘩を続ける。それでヴァジュラを追い詰めてるのはファイだけだった。大人二人はとうとうただの喧嘩を始めてしまっている。

「あーもう!!やってらんないよこの筋肉馬鹿!力さえあったら何でもできるとか勘違いするな!!」
「うるせえよてめえこそ悪知恵だけで生きてけると思ったら大間違いだふけ顔が!」
「顔に関しては君にだけは言われたくないね!てか自分が若いとでも思ってるの!?勘違いも程々にしなよね!」
「てめえよかずっと実年齢に近く見られるわダァホ!その白髪はあれか、もう年食ってきた証拠だろ!年さば読むの自重しやがれ!!」

もう、最悪だ(本日三回目)しかも二人にヴァジュラが目標を変更したのも気づいていない。
これは自分が出るべきか?とソーマが身を乗り出した瞬間。

−−−−−−ズガァァァァァン!!

本日最大級の破壊音とヴァジュラの耳障りな悲鳴が木霊して消える。それにはさすがに驚いたのか二人が音源を捜す。ソーマはとっくに見つけていた。見つけていて、やばいと本能で悟れた。気がする。

音源はファイで、その足元には見事に真っ二つになりコアをむき出しにした哀れなヴァジュラの躯が転がっている。そのコアを捕食し、ファイははああああ・・・とゆっくりと、それはもうゆっくりと息を吐いた。
そして

「死ね、カス共」

無表情な声色とは裏腹に、怨念を滾らせたファイの一撃はミカドとレオンをぶっ飛ばすには十分過ぎた。




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