クレイジーイーター | ナノ




6

がつがつと、食えそうな素材を漁っていたヴァジュラに、二つの気配が忍び寄っていた。
聴力の弱いヴァジュラがその闖入者の足音に気づかず食事に没頭していたときに、衝撃は来た。

「ぅおおおおおっ!!」

野太い雄たけびを上げながらレオンがチャージクラッシュを解放する。その巨大化した刃はヴァジュラの食事を妨害するだけでなく、先ほどミカドが攻撃した前足の結合を完全に断ち切った。

食べ物の恨みは何とやら、ヴァジュラは闖入者であるレオンを睥睨すると雄たけびを上げる。そして、彼を捕食すべく牙をむき出して後ろ足に力を込めたときだった。

最初に、レオンの耳に届いたのは風を切ったようなひゅっと言う軽い音だった。それがヴァジュラの悲鳴に変わったのはすぐだった。

「グオオオオオオオッ!」

その音よりもはるかに小さいのに再び聞えた風を切る音。
音ともにヴァジュラの体が切れていく。レオンは思わず口笛を吹いた。

「やるねえお嬢」

そう、この風を切るような音はファイの振るうロングブレードから響く音だった。まるでフェンシングの剣を構えるように神機を握ったファイは再び地をける。小さな体は、まるで重力を失ったかのようにふわりと空を舞い突然地面に引き寄せられるように落ちる。



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