クレイジーイーター | ナノ




2

第一部隊、エントランスに即刻集合。


そんな急過ぎる召集にソーマは苛立ちを隠そうともせず舌打ちする。他のメンバー…コウタやアリサ、サクヤといった面子はソーマ程ではないにしろ落ち着きなさそうに待っていた。

それもそのはず、只今時刻午前5:00。普通ならば寝ているか、起きている者でも今頃身支度を始めたばかりなのだから。

しーんとしたエントランスにコウタの落ち着かない足音、サクヤとアリサの小さな話し声、そしてソーマの舌打ちが再び響く。それが聞こえたかのようにエレベーターが開き、中から自分たちを呼んだであろうツバキ、第一部隊リーダーリンドウが姿を見せる。そして、その後ろに見ない顔が三つあった。

二人はなぜかぼろぼろで、一人は不満全開と言った表情を隠しもせず、立つ。
ぼろぼろの内方や身長200cmはあろう長身にそれに見合ったがたい、派手な金髪はぼさぼさで荒々しいという言葉がぴったりの男、方や彼とはほぼ真逆といっていい、背はあるがか弱い印象を持つ、白髪の隻眼の男。そして、憮然と立つ赤髪が目立つ少女。

呼び出された四人はなんとなく、呼ばれた理由がわかった。

「ふぁー・・・っと、朝早くからすまんな」

あくびをしながら詫びるリンドウからはまったく誠意は感じられない。無理もないだろうが、ツバキにはまったく関係のないことだった。
手に持っていた分厚い資料を容赦なくリンドウにぶつけ、痛がる弟を完全に無視した上で口を開く。

「本日付で極東支部に就任した新型神器使い新人たちだ。左から自己紹介しろ」

睨みを利かせたようなツバキの視線を追いかけるように五人の視線も新人たちに向けられる。普通ならばここで縮み上がってしまうものだろう(特にツバキの視線に)。しかし、注目された新人は金髪はあくびをし、白髪はへらりと笑い、赤髪は以前として仏頂面を崩さない。なんて図太い奴等だと、ソーマはあきれた。

と、ツバキに最初に睨まれた左側の新人・・・金髪が口を開く。

「レオン=G=ガイアエンド。年は24、好きなもん、喧嘩。以上」

喧嘩、という単語にアリサは思わず顔をしかめる。と、金髪もといレオンと目が合った。
アリサの嫌悪の表情に対し、特に何も思わなかったのだろう。しぱしぱと瞬きをして、再び正面を向いた。
そんなことをしているうちに真ん中の少女が口を開く。

「ファリィ=メティア。ニックネーム、ファイ」

それを呟くなり、黙り込んだ少女に一同が(レオンと白髪含め)虚を突かれる。相当に機嫌が悪いらしい彼女はそんな空気はものともしなかった。
そんな居心地悪い空気を変えようとするように白髪があわてたように口を開いた。

「風神帝(ミカド)と申します。年は21、特技はまあ・・・色々と」

その色々を紹介しろよ。

あははと照れくさそうに笑ったミカドに対し、そう内心で突っ込んだのは何もコウタとソーマだけではない。たまたま通りかかった物、ミッションを管理するヒバリと・・・全員、突っ込んだ。




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