クレイジーイーター | ナノ




12

きっと、ソーマもリンドウに抱きしめて貰ったのだろうとコウタは思った。
なぜならそのぎこちなさは何かの動きを思い出しなぞるような不格好な動きだったのだから。

しかし、ソーマの手は頭から首を伝い、背中を、ファイの過去の傷を労るかのように撫でていく間、ファイの全身から夥しい量の汗が止まらない。

「は、なせ」
「断る」
「たのむ、から、はなし、て」
「駄目だ」
「おねが・・・っぁ」

ファイは小さく呻いて、勢い良くソーマを突き飛ばす。瞳孔が開いたその目は染まっていた。
その目を染めていたのは、恐怖。

「ファイ・・・?」

突き飛ばされたソーマを支えていたコウタは困惑気味にファイに手を伸ばす。伸ばした手がばちんと弾かれてそれから。

「さわらないで・・・も、いたいの、いや・・・!」
「ファイ?大丈夫だよ、俺たちファイのこと傷つけたりなんか・・・」
「さわるなああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

突然ファイが喉が裂けんばかりに悲鳴を上げてコウタとソーマに手当たり次第にものを投げつける。
その絶叫に含まれていたのは、拒絶と恐怖。



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