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『…蒼イ、亜人カ?…貴様ハ我ガ恐シクナイノカ?』
「…畏れていても何も変わらないからな。それだったらお前に牙を向けた方が長生きできる」
言い切るや否や、予め詠唱を終えていた魔法を放つ。
無慈悲な閃光は邪神の身を貫く筈だった。
邪神はフリーズの魔法を事もなげに弾く。そして嘲笑したのだ。
『愚カヨノウ亜人の男!!シカシソノ心意気ハ気ニ入ッタ、ドレ少シバカリ遊ンデヤロウ』
邪神が腕を振り下ろす。それは不意を付かれて構えが間に合わなかったウルガに直撃した。
ウルガは吹っ飛ばされ、民家に激突して止まった。
「ぐ…ぅ…」
「ウルガく…っあぁぁあぁあ!?」
叩き付けられたウルガに駆け寄ろうとしたローランに邪神の魔弾が当たる。掠っただけだと言うのにローランの左脇が抉れてしまっている。
「っ野郎!!」
「ザビィ行くな!!」
フリーズの叫びも空しくザビィは突っ込んで行く。そうなってしまっては邪神の思う壺な訳で。
「っは…!」
ばたばたと、ザビィの右胸から鮮血が溢れ出す。そこからずるりと抜かれたのは
邪神の、腕だった。
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