3
それが始めて別の色を見たのは其処から6年後。それなりに大きくなってきたときだ。
なにか、綺麗なものが音を出していた。形は今まで壊してきたものより小さいが同じ、でも、それの目には全く別物に見えた。それはこっちに気付いた見たいだった。
「こんにちは、1人なの?」
「・・・?」
音がこちらに問いかける。しかし意味が分からない。知らない、こんなことは知らない。
「? 喋れないの?」
「・・・?」
「僕の声は聞こえるかな」
「・・・」
困った。という感情は生憎持ち合わせてなかったので自分が困ったことになっていることが分かっていない。首をかしげる。
綺麗なものが目を丸くする。目はあかかった。だが慣れ親しんだあかじゃない。
「僕は 「 」、君は?」
「・・・」
音も出し方なんて知らない。今日は知らない事だらけだ。綺麗なものは少し考えて思いついたようにぱあっと顔を輝かせる。
「きっと喋り方と話し方が分からないんだね」
「・・・」
沈黙。いっそ壊してやろうか、と思ったら頭を撫でられた。初めてなのにいやじゃない。
「とりあえず名前・・・何にしよう?」
「・・・」
「そうだ、ファイはどうかな?君の髪の毛焔みたいだから焔(ファイアー)を略しただけなんだけど・・・いやかな?」
「・・・」
分からないのでとりあえずうなずいておいた。
[ 3/164 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]