双神二重曲奏 | ナノ



18

ファイが先陣切って走りだす。
その斜め後ろには右にローラン、左にザビィが走っている。
ローランの馬にウルガが乗り、ザビィの脇ぎりぎりにフリーズが走る。
それらを盾にするようにシャルが迅速に回復が行えるよう、集中する。

「食い殺されたい奴から掛かってきやがれ雑魚共!!」

ファイが吠えるな否や、左手にセイレーン、右手に両刃剣を握り振るう。
ほんの少しザビィとローランから離れ、美しささえ感じさせる舞いのように切り刻む。
ファイがしとめそこない向かってきた奴らをザビィとローランが迎え打つ。
お互いの動きが大体読めるのだろう、息がぴったりと合っていた。
ローランが止めを刺し損ねれば其処にウルガの矢が叩き込まれ、ザビィの槍から逃れた者はフリーズの閃光がその命を浄化する。
傷付いていく前線陣を、シャルの天使特有の柔らかな魔力が癒す。
遠くから火球や光魔法がくればファイの魔弾とフリーズの上級魔法が相殺する。


完全な連携だった。
各個人が動きやすかったし、自分の力が不足する場面では別の誰かがカバーする。
相手が巨大な魔物ならファイが完膚無きまでに切り刻み、対人戦だと本業であるローラン、ウルガ、フリーズが蹂躙する。トリッキーな策に出る相手ならザビィがその裏を掻く。
そして誰も手に付かない回復をシャルがとことん専門するため、怪我のリスクを考える必要が無かった。



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