双神二重曲奏 | ナノ



17

「あ、れ?」
「なんだ、おい??」

ローランとザビィが間の抜けた声を出す。
ウルガは腰が抜けたらしくその場に座り込んだ。

周りの山賊の数が減っている。
その中心にはファイが血だらけで立っていた。
呆然とした周りに、ファイだけが舌を出して片目を閉じた。

「なーんちゃって、こいつ等殺してもお前ら殺すわけねえだろ」

ウルガは問い正そうとして、ローランとザビィの格好に気が付いた。

「あれ、あんたら怪我・・・」
「あ?」
「幻覚で意識すっ飛ばしてからちょいと治した」

ファイが襲ってきた奴を見もせずに両断する。
小さく呻いたフリーズとシャルを軽く叩いて起こす。

「シャル、神父」
「ふぁい・・・?」
「おはよう」
「ん・・・おはよ・・・って何で居るんだ?」
「後で教えてやる、今はゴミ掃除に付き合え」

ファイが言った後に状況を理解したのか、特に何も聞かずにフリーズは頷く。
未だに呆然としているウルガ、ザビィ、ローランにもえらっそうにふんぞり返って言った。

「てめーらも手伝え。こいつら半端ねえ賞金掛かってる」
「は?え?」
「断る!《金色の虎》の手助けなんて・・・!!」
「俺もだ!!こんなやつ・・・!!」

吠え立てる二人にファイははあ?と睨みつける。

「何勘違いしてやがる。誰がお前らで友情ごっこやれっつったよ?」
「「は?」」
「俺に付き合えって言ったんだ。別にお前らに仲良く!!なんていった覚えは無い」
「「でも・・・!!」」
「うるせえしばくぞ」

ファイに睨まれてしぶしぶ従った二人をみてフリーズは
(赤い騎士は誰か分からないけど)似た物同士だなと少し笑った。

「じゃあ俺が突っ込むからザビィとローランは俺の脇固めろ。
フリーズとウルガはその後ろを走りながら遠距離叩き込め。
シャルは臨機応変に。殺すの無理なら治癒に専念しろ」

ファイがつらつらと練習したように指示を出す。5人はぽかんと口を開けた。

「なんだよ、変なとこあったか?一応これ、この状況見越して考えたんだが」
「・・・変なのはファイだよ。どうしたの?」
「は?」
「体の具合悪いんですか?」
「あ?」
「熱あるんじゃね?」
「??」
「それともお酒の飲みすぎかな?」
「・・・」
「ファイちゃんが俺らのこと普通に呼んだ上に、勝手にしろっていわないなんて・・・」
「な・・・!!殺すぞ!!」

ザビィやウルガならともかくまさかフリーズやシャル、ローランにまでそんなことを言われると思っていなかったらしい。
ファイは顔を真っ赤にして怒った。

「さっさといくぞ馬鹿が!・・・後ろ任せた」

最後にボそりと呟かれた一言を、誰も聞き逃さなかった。

「了解」
「まかせてください!」
「ファイちゃんの居る所なら何処へでもVv」
「おう、精々暴れてくれよ」
「・・・背中は、任せて」

最後にフリーズがそういった後、ファイが少しだけ笑った気がした。



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