双神二重曲奏 | ナノ



7

はいナレーター復活!!こっから俺のターン!!

ファイはシャルを一括する。普段からは考えられないくらい大きな声で、低く響かせる。
二人に説教たれていたフリーズはもちろんザビィとウルガまでもが硬直する。

「口答えしてんじゃねえよ」
「・・・っ」

息ごと声を止めたシャルを一瞥したファイはフードを被った人物にむきあい、再び剣を振り上げ、降ろす。
しかし、さっき硬直していたフリーズが間に割って入った。
フリーズとファイの剣から火花が散る。其の隙にシャルがフードの人物を非難させた。

「邪魔だ、退け」
「いやだ、退かない」
「退けといった」
「俺も言った。退かない」

ファイと、そして珍しくフリーズの眉間に皺がよっている。
緋と蒼の双眸がどんどん不機嫌に吊りあがっていく。
先に剣を降ろしたのはファイだった。其の顔にはありありと軽蔑の色が出ている。

「じゃあ勝手にしろ」
「そうさせてもらうよ」

対するフリーズもつっけんどんに返す。ファイはそのまま踵を返してしまった。

「ちょ、ファイちゃんどこいくのさ!?」
「其処の馬鹿天使と馬鹿神父のいねえとこ」
「・・・行こうかシャル君」
「はい」

すっかり機嫌の悪くなったシャルとフリーズはファイと反対方向へ足を向ける。どんどん距離が開いていった。

「俺達の事忘れてるね、完璧」

ザビィが隣で唖然としているウルガを見やり、あ、今眉間の皺消えてるとかどうでもいいことを考えた。
見られていることにも気が付かないウルガは只ポカンと口を開けているだけだ。

「ふりーずん切れると誰よりも頑固なんだよ。只でさえ俺等が怒らせてたんだ。ファイちゃんの態度に切れんのは当たり前さ」
「・・・違う」
「ほえ?」

ザビィはウルガの顔を見やる。眉間の皺はいつもどおりに刻まれているが、顔色が悪かった。そんなに怒ったフリーズが怖かったのか。
そう思ったザビィの考えは外れていた。
ウルガは顔面蒼白と言った様子で呟いたのだ。

「今フリーズとファイの行った方向・・・現在進行形で対立してる組織のアジトがあるって噂・・・知ってたか?」
「・・・忘れてた!!」



「「ちょ、お前ら待てぇ!!!!」」

自分と相手の血の気が引く音を聞いたウルガはファイの向かった方向へ、
ザビィはシャルとフリーズが向かった方向へ準備運動ナシの全力疾走を開始した。




[ 50/164 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -