双神二重曲奏 | ナノ



6

ナレーターさんの死亡確認がされたのでこっからは僕、シャルがナレーター代理を務めます。まあすぐに復活すると思いますが・・・

「あの・・・ちょっとよろしいでしょうか・・・?」
「あん?」

あ、誰かはなしかけて来ましたよ。何かいかにも怪しそうな人です。フードを深く被っていてお顔が見えません。

「これを落とされたのはあなたですか?」

と、その人が出したのはいつもファイの手首についている腕輪です。ファイったら落としちゃったのでしょうか。

「ああ、俺のだ」
「よかった。もう持ち主はどこかへ行ってしまったかと思っておりました」

その人の声音が本当に安心したように呟いて、ファイの手に腕輪を渡していました。
ファイは腕輪をはめながら其の人物をじろりと睨みました。
いえ、この言い方では語弊がありますね。
ファイは究極に目つきが悪いから普通に人を見てもその人を卒倒させるくらいの威力ある眼光が生み出されます。
案の定その人も怯えたように一歩後ずさってしまってます。
もうちょっとソフトに人見れないんでしょうかうちの師匠は。

「・・・で、これを俺に返して何が目的だ」
「は?」
「どうせ金品寄越せだろ、今くたばってるうっざいくらい長い三つ編みのばかから取っていけ」
「あの・・・何のお話でしょうか?私は只落ちていたので持ち主であるあなたにお渡ししようと思っただけです」
「は?そんな訳ねえだろ、お前ここがどこか分かってんのか」

ファイ・・・もう少し優しくいえないんですか?このひとかわいそうに怯えてるじゃないですか・・・。

「混沌【カオス】・・・ですよね・・・?」
「そうだよ混沌【カオス】だ。何があっても文句は言えねえ」

ファイがすらりと剣を抜く。・・・ってちょっとまって!!

「ファイ!それはあんまりです!」
「シャル、黙ってろ」
「でも善意で持ってきてくれたんですよ!?」
「下心があるかもしれん、それにコイツが山賊の使いじゃないって確証が無い」
「いいえ、善意です」
「シャル」
「僕は天使だから分かります!この人は嘘なんてついちゃいな」
「黙れクソガキ!!」



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