5
其の人物の髪を見た時、フリーズは頭の奥で何かがなる音を聞いた。
それは警鐘だったのか予感なのかは分からなかったが。
ファイは蒼い髪の男を見た瞬間、頭の奥で何かがなる音を聞いた。
それは確かな記憶だったのか既視感なのかは分からなかったが。
とにかく二人は自分と真逆の相手を見て同じことを考えていた。思っていた。想っていた。
あれは 欠けた自分のパーツでは無いのかと。
「・・・フリーズ?」
「ファイ・・・?」
ウルガとシャルの呼びかけで我に返った二人はとっさに視線をそらす。
何も無いはずなのに心臓がやけに煩かった。
「な、何ウルガ?」
「何をボーっとしてんだよ。」
「・・・・・・いや、なんでもないよ。大丈夫」
「・・・さっきまで気絶してた奴の大丈夫なんざ信用できるか!」
「うわっ!ウルガ耳元で叫ばないでよ!!鼓膜破れる!!」
そんなやり取りをしていた二人の耳にドコッと言う痛々しい音が響く。
振り向けば天使が頭を抑え、赤毛の人物が仁王立ちしている。其の手は拳の形になっていた。
どうやら殴ったらしい。
「〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!」
「痛いって言うの禁止、何でって言う疑問も禁止。自分が良く分かってんだろう?」
「・・・ごめんなさい・・・・・・・」
「あれが誤ってすむ問題か馬鹿!!へたすりゃお前死んでたんだぞ!!」
「うー・・・」
「うー。じゃねえ!!この・・・」
「ちょっと、其処まで言う必要ないじゃないですか」
ファイのあんまりな言い方にフリーズが思わず止めに入る。
フリーズの視界に入ったのはあーあと頭を抱えるウルガと思わぬ救援に少しほっとした様子のシャル、そして
「部外者はすっこんでろ」
視界一杯には、鬼の形相のファイが地を這うような声でフリーズを脅していた。
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