双神二重曲奏 | ナノ



4

そして一刻後。教会の壁にぶつかって巨大蜘蛛の暴走は止まった。
シャルは教会の長いすの上に放り出されて背中を強打。激痛が走り、動けない。

「う・・・くっ・・・」
「グルルルル・・・」

二本もの足を切断された蜘蛛は残った足と鋭い牙をガチガチと鳴らし、威嚇する。そして止めが――――

「動くなよ坊主!!」
「『ライト』!!」
「グアアアアアアアアアア!!?」
「!?」

男性特有の低い声と高い声が同時に別の言葉を紡ぎ、
其の一瞬後に流星のように光と複数の矢が巨大蜘蛛を襲い、
シャルの息の根を止めるはずだった爪の強襲は止められた。
シャルが光と矢の発生源の方向を見ると青い髪の青年が分厚い本を開き、
緑の髪の青年が弓を構えて立っていた。
青毛の青年―フリーズが本を閉じシャルの方へ駆けて来る。
遅れて緑髪の青年―ウルガが追いかけるように早足で歩いてくる。

「君!!大丈夫!?」
「え・・・?あ、はい。何とか・・・」
「無理してんじゃねえぞ?コイツならよっぽどの重症じゃなけりゃあっという間に治しちまうんだからよ」
「本当に大丈夫です。・・・ありがとうございます」
「そう・・・なら良かった」

シャルとフリーズがふわふわ笑いウルガが全く・・・とぼやきつつその場が和んだ。だが

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
「「「!?」」」

巨大蜘蛛が止めを刺しきれて居なかったのか満身創痍で襲い掛かってきた。
三人三様の武器を構えるも、間に合わない。
終わりだ、そう思った時。 


蜘蛛が  割れた。



「え・・・!?」
「なんだ!?」
「ぁ・・・!!」

紫色の飛沫を被りながらも毅然と立っていた其の人物。
両刃の剣を一振りし、巨大蜘蛛の体液を振る払う。
細められた蒼銀の目がシャルと二人を視界に納めた。
頭の真ん中で一つに結い上げられた紅金の髪が生き物のようにゆらりと揺れる。



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