双神二重曲奏 | ナノ



2

「・・・リーズ、フリーズ!!」
「・・・ん」

薄く目を開けたフリーズが最初に見たのは心配そうな年下の親友の顔。
一重の橙色の鋭い瞳が自分を覗き込んでいた。
濃い緑の髪が深い森を連想させる所為かここ何処だろうと思ってしまった。

「おい、大丈夫か?」
「・・・なんとかね」

フリーズは頭を抱えて起き上がる。
どうやら自分が気を失っていたと自覚できたのはすぐ後の事だった。
不意にくしゃりと頭を撫でられる。フリーズの蒼い髪が軽く乱れる。

「わっ」
「ったく、心配させんなっつの。お前が怪我でもしたらザビィのボケに刺し殺されんの俺なんだからよ」
「・・・それは君がつっかかていくからだよ、ウルガ・・・」

緑髪の青年、基ウルガは非常に悪い目つきを更に細め、不機嫌丸出しである。

「あいつが俺に喧嘩売ってくるから買ってやってんだよ。親・切・心でな」
「強調しなくてもいいよ・・・」

フリーズは別の意味で頭を抱えた。
一体この二人はいつになったら仲良くしてくれるんだろう。
仲が良いがために行われる喧嘩だという事は、神父で尚且つ平和主義であるフリーズには思いつかない。
とりあえず其の思考に終止符を打ち、フリーズは改めてここは何処だろうと周りを見回す。
どうやら打ち捨てられた教会のようで、床にはしっかりと埃がたまっている。
略奪でもあったのか、床や椅子、壁には血痕が大量に付着していた。

「ここは・・・」
「何か思い出したのか?」

フリーズは18の頃の記憶が無い。
何か大きな事件(普段から人が当然のように死んで殺される混沌【カオス】に大きな事件も無いけど)に巻き込まれたらしい、
ザビィがフリーズのことを覚えてて拾ってくれていなければどうなっていたのか分からなかった。

「いや・・・なんでもないよ、ごめん」
「別にいいけどよ、無理すんな」
「有難うウルガ」
「礼なんざ今更だろ」
「・・・うん」

さて、今からどうしたものかと思案し始めたときだった。
壁がひとりでに爆発したのだ。
いやそんな超常現象はさすがの混沌【カオス】でも起こらない。
生き物が大小二体、飛び込んで来たのだ。
大きいほうは蜘蛛が巨大化したような魔物。もう一つの小さい方は純白の翼と二対の剣を持った剣士だった。



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