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「所でお前これからどうするんだ?」
「はい?」
あれからファイと天使は適当に体を洗い、盗んできた服を着て(天使が風邪を引くから着なさいと説教たれたらしい)
暖を取るついでに簡素なスープを作って今後のことを話していた。
「俺はもともと風来坊だからな、いく場所なんざ戦場くらいだがお前は帰る場所あるんだろ?」
「無いですよ・・・風切羽なくなっちゃいましたから・・・」
「女神に連絡取ればいいじゃねえか。それとも何か、神は飛べない天使のことなんか意に関さずなのか」
「そんなことはありません!!僕の君主は誰にでも手を差し伸べる方です!!
他の天使にも僕と同じ状況になった方がいました、そんな同胞にもあの方は手を差し伸べていらっしゃった!!」
がおうと吠える様に天使は講義した。
どうやら地雷を踏んでしまったらしく翼をばさばさ羽ばたかせながらまだ何か言っている。
ファイは天使の剣幕に押されたじたじだ。
「わ・・・分かった!分かったから落ち着け!!お前の女神様は素晴らしい!!美しい!!優しい!!!」
「分かっていただけたなら結構です」
結構満足のいく回答だったらしい。
ふぅと溜め息をついて一瞬で落ち着いた。
正直な話、溜め息尽きたいのは俺の方だと言いたかったが、
またあんなふうに怒鳴られるのは嫌だったので黙っておく事にした。
「それに・・・今天界も大変だから・・・今の僕じゃあの方のご迷惑になるだけですから」
「・・・そうか」
「だからしばらくはここに・・・」
「やめとけ」
「何故ですか?」
「混沌【カオス】に平穏など無い。常識だ。
ましてやお前みたいな子供が一人なんざ殺してくれって言ってるようなもんじゃねえか」
「しかし他に・・・」
「あーあーあー!!分かった!!俺がお前を拾ってやる、それでいいだろ!?」
ファイは半ばやけくそに叫んだ。面倒くせー!!と心の中で叫ぶのは忘れない。
「いいんですか!?・・・貴方は傭兵でしょう?僕が居たら邪魔なんじゃ・・・」
「其の為に身を守るだけの殺し方は教える。後はお前が付いてこれるかだ」
「・・・では、御願いします」
「おう・・・但し!!俺の命令は絶対だ。背いたら即放っていくからな!!」
「・・・はい!」
にっこり笑って元気良く返事を返す天使にやれやれと溜め息をつきつつ、
まあ悪く無いかとうっすら思っているファイだった。
「そういやお前、名前は?」
「シャルといいます」
「そうか・・・いい名だ」
「貴方は?」
「俺はファイだ」
「ファイ・・・これから宜しく御願いします」
「ああ、まずは明日朝一でザビィのアホに報酬ふんだくりに行くぞ」
「?はい!!」
其の日から、戦場の鬼には常に飛べぬ天使が連れ添っている。
必ず 傍に
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