双神二重曲奏 | ナノ



9

「・・・っん」

ぼやけていた景色がはっきりしていく。
頭がぐらぐらしたのは強い衝撃を受けたからなのだが、それ以前に目覚めたばかりで自分の置かれた状況が分からない。

「ん・・・んぅ!?」

自由の利かない体に思うように喋れない事でようやく状況がつかめる。
ファイが居たのはあの鳥籠の中で、膝立ちになっていた。
腕は籠の中に吊るされた状態で拘束されている。
手首での拘束では無いのでぬけだすのは不可能に近かった。
ご丁寧に足首にも鉄枷が付いている。
口には猿轡ががっちりとかまされておりちょっとやそっとじゃ取れなさそうだ。
頭の真ん中で結われていた髪は叩きつけられたときに髪留めの紐がとれたのか、下に散らばるように解かれていた。


「おはようさんファード」
「・・・っ」

檻の外にはバッドと数人の男が子供を囲って何かしていた。いや最早何かと濁す必要も無かった。
綺麗に言えば性的暴行、詰まるところの強姦である。
拘束され、猿轡をかまされているのはファイと変わらない。
違うのは、其の子供に衣服の類が一切なく、背中には純白の翼があったことか。

「どうだ?良い眺めだろう?」

バッドは檻に入ってくるとファイの猿轡を乱暴に外す。
あごが外れたような感覚に顔を顰めたがすぐにバッドに向き直る。

「・・・気に入らん」
「ふうん・・・お前にこの手の趣味は無かったか」

バッドはその巨体をずらし、ファイに子供がよく見えるように髪を掴み前へ出す。
少年を呼ばれる歳であろう其の子供を男共が群がっている。

「ん゛ーっ、ん゛っん゛!!」
「おいおい暴れるなよ」
「ん゛ん゛ぅ!ぅぐぅ!!」
「おい次は俺が突っ込むんだろうが!!抜かしてんじゃねえぞ!」
「せくなよ餓鬼が!」

そんな会話を音楽か何かを聞くかのようにバッドは恍惚とした顔で見ていた。
対するファイは見たくも聞きたくも無いと言わんばかり目をそらす。

「中々の上玉だろう、探し出すのに苦労したんたぜ?」
「・・・何の目的で?」

ファイがバッドを睨み上げ、バッドがファイをゆっくり見下す。二対の目が交差する。

「なんだと思う?」
「知らんから聞いている。何が目的で亜人や天使の子をさらう」

問いかけ、ではなく詰問。それも超えて尋問。
今のファイにはそれくらいの気迫があった。

「見ての通りさ、娯楽だ。ゲームだよ」
「ゲーム・・・だと?」
「無駄な正義感は振りかざすなよ、お前も今の自分の状況分かってない訳じゃねぇだろ?」

言うが早いかファイの前髪を掴み自分の方へ引く。

「・・・っ」
「最近同業の奴らから聞いてたんだよ、俺らのことこそこそ嗅ぎ回る馬鹿が居るってよ。お前、そうなんだろ?」
「・・・ああ、そうだな」
「なんだあ?やけに正直じゃねえか」
「いや、お前が俺に気が付いてくれたお陰で正面から堂々と潰す口実が出来て助かったなと」
「・・・あぁ?」
「だからよ、テメエら全員まとめてふっとば」

最後まで言い終わる前にバッドの振り下ろした斧がファイの体を斬る。

「ぐぁ・・・ッ!?」
「おっとすまねえ。つい手が出ちまった」

そういいながら第二撃を繰り出す。身動きの取れないファイはまともに喰らい胸から足の付け根までがばっくりと割れる。
ファイの服の中で巻かれていた晒しがはらりと落ちて赤黒く染まる。

「おお、女だったのか」
「・・・まあ・・・な・・・」
「良い女じゃねえか。殺すつもりだったんだが・・・気が変わった」

バッドの斧がファイの下腹・・・子宮があるところに食い込み切り裂いた。

「――――っうああああぁっぁぁああぁ!!」
「俺は女のナシが好きでねえ。おまえのもらうわ」

バッドは切り口に手を突っ込み無遠慮にぐちゃぐちゃと掻き回す様に子宮を探す。
ファイは声を出すまいと耐えているがあまりの激痛に声が漏れる。

「さあ、何処にあるんだろうなあ?」
「う・・・っぐ・・・が・・・」
「イイ声で鳴くじゃねえか・・・ん?」
「ぐぁ・・・あぅ・・・!!」

バッドはずるりと手を抜く。
口から、切り口から大量の血を流すファイを見て首をかしげて猫撫で声で問いかけた。

「お前、子宮が無いから男って言ってたのか?」




ファイの時が一瞬だけ止まる。




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