2
「おうファード、今日も絶好調だったじゃねえか」
「・・・」
アジトである巨大な砦に戻ったファイに待っていたものは、
この山賊のボスであるバットの背中を盛大に平手で叩くという激励だった。そのまま肩を組まれる。
ついでにファードとは、ファイの偽名である。(命名ザビィ)
そもそもファイがこんな激励を受ける羽目になったのもザビィの所為だ。
事の経緯は約一週間前に遡る。
とある混沌【カオス】の酒場(兼宿屋)にて、ファイが休息をとっていた時のことだ。
「やほー、彼是一月と数日振りの再会」
「・・・」
突然ザビィが窓から不法侵入してきたのだ。もちろん、ファイは無言で窓から蹴落とそうとした。
因みにファイに当てられた部屋は2階だが、相当な高さがある。
「ぎゃ、ちょ、痛い痛い!!つか落ちる!!」
「大丈夫だ、お前は存在そのものが地の底より深い場所に堕ち切っている。安心して落ちろ」
「酷い!!死んじゃうっ!!」
「死ね。葬式は盛大に行ってやる。
ついでに其の後のお開きはこの世のものとは思えないくらい楽しい行事にしてやろう」
「マジでヒデェ!!!」
冗談だろうと思っていたザビィはファイの目を見て其の考えが間違えだったことに気が付いた。
ファイの目が、本気だった。
[ 21/164 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]